2011年1月23日日曜日

眠りながら成功する―自己暗示と潜在意識の活用 ジョセフ・マーフィー 著

いろいろあってかなり久しぶりの投稿になってしまいました…。
いろいろあった関係で、潜在意識が犯された(?)ようにも感じたので、こんな本を読んでみました。



内容的には最近流行の成功術の本にあるような話なのですが、驚きなのはこの内容を昭和43年に書いていたという点です。

いろいろな例が書かれていますが、結局この本が言っていることは「人とはその人が一日中考えていることだ」という、著者が引用しているアメリカの哲学者エマーソンの言葉に要約されるかもしれません。強く祈ったりイメージしたり、深く瞑想したりすることで、人間の思考の97%を形成すると言われる潜在意識を「操作」できるようになれば、大抵のことはうまくいくということです。

科学的な証明があまり行われていないので、実際のところどうなのかわかりませんし、「怪しい宗教系」な考え方にも見えますが、広く世の中で「祈る」ということが遥か昔から行われていたということを考えると、経験則的には正しいと言えるように個人的には思います。

とは言え、潜在意識をコントロールできるようになる程強く祈ったりイメージしたりというのは、やり方を間違えると大変なことにもなりかねませんよね…。何事もそう容易くはないということでしょうか。

2010年7月26日月曜日

日経7/26夕刊「寄付社会をつくる」

今日は表題の記事を読んでいろいろ考えてしまいました…。

お子さんのないご夫婦が始めた寄付。その寄付も、ご主人が退職後、奥さんが病気で余命宣告を受けて、国内ばかりでなく海外へ。

察するに、お子さんは欲しかったけれども授からなかったのでしょう。昨今では子供ができないことに対して、人を逆恨みして殺人まで犯すような輩いる中、寄付なんてなかなかできるものではありません。やはり戦争の経験など、大きな苦労をされてきているからこそできることなのでしょうか。

そして奥さんに余命宣告があった後、たびたびご夫婦で海外旅行に行かれたとのこと。うーん、もはやどんな気持ちで旅行されたのか、私には想像ができません。少なくとも私だったら旅行をまともに楽しめないでしょう。でもこのご夫婦は、訪れた先の貧しい子供への寄付も始めています。何ていうか、素晴らしいとしか言いようがありません。

そして奥さんに先立たれたご主人。今でも寄付を続けていて、もはや受け取る年金の額よりも寄付が大きいとのこと。年金を受け取っておきながらも、金額が少ない少ないと文句を言う人も多い中、本当に素晴らしい。その記事には奥さんの写真の入ったTシャツを着たご主人の写真が掲載されているのですが、満面の笑みを湛えておられました。

昨今は暗い話ばかりですが、この記事には妙に胸を打たれました。私も少しは見習わなくてはなりませんね…。

2010年7月25日日曜日

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 岩崎 夏海 著

今回は今でも話題のこの本をご紹介。かなり前に読んでいたのですが、なかなかここに書くことができておりませんでした。 今でこそかなり売れたので問題ありませんが、ちょっと書店で手に取るのが憚られる表紙ですね。でも中身はもちろん変な内容ではありません。

この本、なんと著者は「AKB48」のプロデュースをしていた人。内容も実際のAKB48のメンバーをモデルにしているらしいです。

もはや説明するまでもないですが、本書はこの本の内容を高校野球の運営に適用して、小説風にまとめたものです。ドラッカーの本は、もともと内容が抽象的かつ翻訳本なためかなり敷居が高いですが、この本はそれこそこの内容を必要とする人は誰でもスラスラ読めるのではないかと思います。

ポイントはかなり絞られていて、ドラッカーの思想のホンの一部しかカバーされていませんが、かなり重要なところは押さえているんじゃないかと思います。触れられている主なポイントとしては、おおよそ以下のような感じでしょうか。

1.マネージャに求められる資質(真摯さ)

2.「顧客は誰か」

3.「マネジメントは、生産的な仕事を通じて、働く人たちに成果をあげさせなければならない」

4.働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。そのためには、①生産的な仕事、②フィードバック情報、③継続学習が不可欠

5.「専門家」と「マネージャ」の役割の違い

6.成長には準備が必要

7.人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。組織の目的は、人の強みを生産に結び付け、人の弱みを中和すること

8.「人は最大の資産である」

9.自己目標管理

10.イノベーションの戦略の一歩は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである。

11.マネジメントの三つの役割(組織の目的を果たす、働く人たちを生かす、社会の問題について貢献する)

12.「マネジメントの正当性」-人の強みを生産的なものにする

13.成果とは百発百中のことではない。百発百中は曲芸である。成果とは長期のものである。

14.組織には、それ以下では存続できないという最小規模の限界が産業別、市場別にある。逆に、それを超えると、いかにマネジメントしようとも繁栄を続けられなくなるという最大規模の限度がある。

15.市場において目指すべき地位は、最大ではなく最適である。

16.新市場、特に大きな新市場は、共有者が一社よりも複数であるほうが、はるかに早く拡大する傾向がある。

17.集中することによって、(アルキメデスは)初めて世界を持ち上げることができる。

18.成果中心の精神を高く維持するには、配置、昇給、昇進、降級、解雇など人事に関わる意思決定こそ、最大の管理手段であることを認識する必要がある。

また、それぞれのポイントについて、実際に野球部で適用していく過程が描写されており、ドラッカーの本を既に読まれている人でも「あぁあれはこういうことが言いたかったのか!」という気づきが得られるのではないかと思います。

ただ、正直なところ「こじつけ」なところも少なくないように思えます。何だか情報処理技術者試験の論文試験の解答のように感じられなくも無くなはいです(どっちや!)。

いずれにしても、表紙を見て引いてしまっていた人も含めて、ぜひ一読されることをお勧めしたい一冊ですね。

2010年7月4日日曜日

消費税

久しぶりの投稿ついでに、ベタな政治ネタを少し。

消費税10%とか何とかって騒いでますが、どうなんでしょうねぇ。この問題に関する議論を見ていて、税制そのものより日本の政治家のレベルの低さが心配になってしまうのは、私だけでしょうか・・・。

私が今の政治家に求めたいのは、以下の3点です。

①政治・経済の勉強をきちんとすること

②数値に対する根拠を出すこと

③きちんと頭を使って考えること

何ていうか、当たり前過ぎて今更という感じですが・・・。消費税に当てはめて言うと、まず①については、例えばマクロ経済位は理解していないと税制は議論できません。税率が倍になれば税収も倍になるなんていう、もう逝ってよしという感じの話を聞きますが、モノの値段が上がれば需要は減るなんて、マクロ経済の基本の基本(というか別に勉強してなくても常識!?)の話です。下手をすれば税率を上げたことでモノに対する需要が減り、結果として税収が減るなんてことも十分あり得ます。せめてその辺はしっかりと理解してほしいです。

②の例としては、上記に関連した話で、税率をx%上げると消費がどれだけ減って、結果として税収が幾らくらいになるなんていうことは、それなりに算出できます。本来、こうした分析をした上で初めて、・・・なのでxx%上げましょう、と言えると思うのですが、誰かそういうことやってる人いるんでしょうか???

そして③。消費税を上げてそれを財源に法人税を下げれば、雇用が回復して景気も上向くとのことですが、嘘っぽいですねー。そもそも消費が減る=仕事が減るのに雇用を増やして何になるんでしょうか。企業もアホではないので、用途も無いのにお金があるという理由だけで人を雇ったりしません。まぁ要は、企業の献金や組織票の方が個人の票よりもオイシイというだけのことでしょうけど。

ちなみに、私は決して消費税を上げることに反対している訳ではありません。それ以前の問題ですね。まぁ選挙のことしか考えていない重鎮の圧力もあって、まともな議論や検討ができないという事情もあるんでしょうけどね…。

喉の調子

ここ数か月(数年?)痰に悩まされ続けており、内科を受診しても全く治らなかったので、先日呼吸器科に行ってみました。

そしたらなんと原因がわからないので即CTスキャン。何かぼったくられている気が…。

CTスキャンの結果は問題なし。そして耳鼻科にたらいまわし。

耳鼻科ではなんと鼻のレントゲン。鼻腔の状態を見て蓄膿症かどうかを判断するとのこと。 でも、やっぱり結果は問題なし。

その後鼻にカメラ突っ込まれて、粘膜を採取。 1週間後、再受診。取った粘膜の中の菌を培養したら、肺炎球菌が結構多かったのでこれが原因かも、とのこと。 うーん、何だか深刻そう。でも、とりあえず抗生物質を出してくれるとのことなので、ようやくこれで痰から解放されると若干期待。

で、抗生物質5日分のうち2日分を消化した現在。何の変化もなし。そして肺炎球菌について調べると、確かに肺炎につながるケースもあるようですが、普通の人でも菌を保持している場合はあるとのこと。うーん、どうもハズレっぽい。

結局今回も治りそうにないです…。どなたか良い医者を紹介してください・・・。

2010年5月30日日曜日

SIMロック解除に関するガイドライン

またまた久しぶりになってしまいました。しかもまたこのネタです・・・。

「iPhoneがドコモで使える」かもしれないということで、何だか「規制緩和」のイメージがあるSIMロック解除ですが、仮にこれが「政府による義務付け」であった場合、それは政府による「規制」ですよね。

SIMロック解除を政府が義務付けることは、例えばWiiのゲームをプレイステーション3でもプレイできるように義務付けることとほぼ同じです。

政府がこういう「規制」を設けるのは、競争環境が著しく偏った場合のみ。例としては、WindowsとInternet Explorerのバンドルが挙げられます。Windowsの支配的なシェアにより、バンドルされたInternet Explorerも支配的な立場に容易に立ててしまう。この場合、累進課税と同じような考え方で規制が設けられます。

では携帯キャリアの競争環境はどうか?果たしてiPhoneでソフトバンクは支配的なシェアを手に入れることができたか?これは現時点では恐らくNoですね。むしろiPhoneによってドコモの支配的地位が徐々に揺らいで、競争環境が健全なものになりつつあるという感じでしょうか。最近ドコモも良い端末を出すようになってきてますし。

ちなみ「そもそもバンドルなんてズルい」という印象を持つ方も多いかもしれませんが、企業が競争優位性 (Competitive Advantage) を生かすという意味では必要な考え方です。Wiiからスーパーマリオが取り上げられるとしたらどうでしょう?どこに自社の競争優位性があるかを見極めてそれを最大限に生かすというのは、企業として当たり前の姿。AppleがSIMロック解除の考えに寄っているのは、彼らの競争優位性が別のところにあるからです。

総務省は「脱ガラパゴス」と言ってますが、上記の理由から、SIMロック解除したところで、日本の携帯メーカーに競争優位性がなければ何も変わらないでしょう。逆にApple等に日本国内を占拠されてしまう気がするのは、私だけではないかと思います。

「ユーザーの要望に沿うべき」という言葉も聞かれますが、これも私は危険だと思っています。スーパーマリオのようなゲームをPS3でやりたいというユーザーは少なからずいる一方で、政府が規制を作って任天堂にPS3用のスーパーマリオを出させるか?「ユーザー中心」というセリフは、私には民主党の選挙中心ポピュリズム政治の一環にしか聞こえません。政府はユーザーや企業を含め、あらゆるステークホルダーに対して中立の立場を取るべきです。

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と書きましたが、ここで「SIMロック解除に関するガイドライン(案)」を見てみると、「本ガイドラインは、事業者に対し、SIMロック解除を強制するものではない」との一文。さすがに総務省もバカではなかったです。これはあくまで規制ではなく、事業者がSIMロックを解除しようとしたときに、それを可能にするためのガイドラインという位置づけのようですね。(まぁNTTからの献金が問題視されたことによって原口大臣の意見が変わったり、NTT出身の内藤副大臣が議論を主導していたりするので、引き続き注意は必要ですが・・・)

2010年5月10日月曜日

弾言 成功する人生とバランスシートの使い方 小飼 弾, 山路 達也 著

かなり久々のブログになってしまいました。今回はブロガー小飼弾さんのこの本をiPod touchで読んでみました。

著者の思想の中に「モノの見方は人それぞれ」というものがあり、それは私も全くその通りとは思うのですが、どうも本書には納得のいかないところがありました。

その主張の根幹となるのが、「プッシュ型」の情報を全部捨てるというもの。テレビを見すぎるのは良くないというのには私も同意しますが、著者は「全部」捨ててしまうことで見落としてしまっていることが少なくないんじゃないかなぁと、本書全体を通して感じました。

その最たる例が、著者が本書で延々と述べているバランスシートに関する話。会計やファイナンスに関して、局所的なことばかりが着目されてしまい、全体が一部誤った方向に行ってしまっているように感じます。

例えば、初めから3億円持っている人と30年間毎年1000万円もらい続ける人のどちらが得かという話。著者の主張は、後者の方がバランスシートが小さくなるから良いというものですが、これ、本当でしょうか?

ファイナンスの観点からは、少なくとも金利がプラスであれば上記は誤りです。3億円を30年間運用するのと、毎年1000万円を積み立てて運用するのでは、前者の方が利潤は大きいです。 著者の主張である「どうなるかわからない将来の収入が安定しているから良い」というのも、ちょっと変です。どうなるかわからないのであれば、今のうちに貰っておく方が良いに決まっています。だから金利というものが存在するんです。そもそも、著者の「バランスシートは小さい方が良い」という主張そのものに根拠が見当たりません。

また、「株を発行するより借金をした方が調達コストが低い」という主張もありますが、これもちょっと変。「株の調達コストが借金よりも高い」理由として、「事業が成功した時に株価が高く売れることを期待しているから」ということを挙げていますが、事業が失敗したときのことを全く見落としています。株は事業が失敗しても現金を返す必要がないので、むしろ調達コストは借金よりも安いんですよ。

さらに、「サービス業の場合は設備として持たなければならない固定資産が少なくないので、製造業に比べて自己資本比率は高くなる傾向は確かにある」そうですが、これも甚だ疑問です。まぁ「サービス業」の定義が曖昧なので何とも言えませんが、仮に著者の所属する情報サービス業だとしても、データセンター1つと、プリウスの工場1つでは、圧倒的に後者の方が固定資産の額は大きいですよね。

 

・・・という感じで、挙げ始めたらきりがないというくらい、著者の主張は危うく感じます。もしかすると自分の興味がある情報だけしか吸収していないことが、少し視野を狭くしてしまっているんじゃないかなぁと感じてしまいました。 もちろん「弾言」というタイトル通りの著者の語り口は、読んでいて気持ち良いところはあります。まぁこういう考え方をする人も世の中にはいるんだなぁ、ということを知ったという意味では、読んでみて損という気はしない1冊でした。

2010年4月3日土曜日

SIMロック解除はドコモに有利?

SIMロック解除について別の考察。

現実的に影響があるのは主にドコモとソフトバンク。でも全く同じ端末が使えるようになると、当然有利なのはインフラが充実しているドコモ。その分ソフトバンクは料金で勝負するしかありません。もちろんソフトバンクもネットワーク投資を積極的に行っていますが、かたや総務大臣が大株主になっているNTTの子会社。平等な立場とはとても思えません。

やっぱり内藤議員は単なるダメ議員なんだろうか…。

SIMロック解除を総務省が要請

総務省が、携帯電話端末を特定の通信事業者しか使えないようにする「SIMロック」の解除を要請することを決めたらしいですね。

きっと「やったーついにドコモでiPhoneが使える!」というな人が多いでしょう。

でも、総務省もそんなに頭は悪くありません(たぶん・・・)。

「早急にSIMロック解除に向けたガイドラインを作る」と言っており、必ずしも全てのユーザー、全ての携帯電話のSIMロックが解除される訳ではないでしょう。 初めからSIMロック解除される携帯電話も出るかもしれませんが、きっと驚くような値段。購入後一定期間はSIMロックを解除できない携帯電話は、今後も販売されるでしょう。そもそも、世界的にみて全くSIMロックが存在しない国は殆どありません。

でもこのガイドラインは微妙ですねぇ。携帯キャリアは激しい競争をしているように見えて実は寡占状態ですので、表向きは競争を促進することが目的と主張していますが、私には必ずしもそうではないように思えます。その理由は以下の3点。

1.そもそも、解約と同じ人数だけ新規加入があれば、キャリアは事務手数料でお金を稼げる。携帯端末の買換え頻度が落ちてきた昨今、「買換えない=キャリアを乗り換えない」だと、実は収入が減る恐れがある。

2.キャリアがメーカーの開発支援をするのが苦しくなってきた。一定期間経過後にSIMロック解除することを前提に、キャリア各社で仲良くお金を出し合ってメーカーを支援することにした方が良いかも、と思い始めた。

3.内藤総務副大臣はNTT出身。キャリアを敵に回すようなことはあり得ない。

うーん、政治って難しい。(^ ^;;)