2009年3月27日金曜日

出現する未来 P. センゲ, O. シャーマー, J. ジャウォースキー, S. フラワーズ著

今回は、フォトリーディング講師で右脳開発に詳しい寺下先生からご推薦頂いた本を読んでみました。



この本では、著者達の会話や行動がドキュメンタリー風に描かれていますが、その背景にある「U理論」と、世界と自己との関わり方に関する考察には、驚くべきものがあります。あまりに深い話で、じっくり噛み砕きながら読む必要がありますが、こうした考え方は今後数十年、数百年のうちに、人類の存在に欠かせないものになり得ます。中には「引いて」しまう人も多いかもしれませんが・・・。

まず、物事の本質を見極める最初の段階として、「保留」という概念が定義されます。これは、習慣的思考から自分自身を切り離すことで、本質に気づく可能性を高めるという動作。例えば「雑念を振り払う」ために瞑想するということがこれにあたるでしょう。

次の段階は、「転換」、つまり、物事の対象ではなく根源に関心を向けること。木で例えれば、木の枝葉や幹ではなく、土に隠れている木の根の部分を見ること。

この2つの段階は、「U理論」の基本動作に対応。U理論は①センシング(現実に埋没し状況と一体となる)、②プレゼンシング(出現する未来の内側から見る現在を見直す)、③リアライジング(大きな世界を共に作る)というプロセスからなります。言葉づらだけではちょっと難しいですかね・・・。

このような思考方法は現代の世の中でも全くできていないという状況を、本書では次の例を挙げることで論じています。清涼飲料水会社が先進国の特定の人々にミネラルウォーターを提供することと、ヒトラーの秘書がヒトラーの命令に従って冷徹な行動を徹底したことは、本質的には同じで、「全体」が見えていない行動。この「宇宙」の存続のためには、「全体」の存在を感じ、それと一体になる必要がある、とこの本は説いています。うーん、深い。

全てのモノは「全体」の一部である、という考え方についての例も、非常に興味深いです。ちょっと嘘っぽいと思われる方もいるかもしれませんが、精製した水をそのまま凍らせると単純な結晶しかできない一方で、クラシックを水に「聴かせ」た後に凍らせると、その音楽の性格に似た結晶ができるという実験結果が、その例の1つです。写真つきで出ていて、ちょっとびっくりです。

騙されたと思って一度読んでみると、新たな「世界」が見えてくるようになる一冊なのではないでしょうか。

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